5分でわかる、各職種の転職術
トレーナー・インストラクターの転職

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『トレーナー・インストラクター』とは、
美容部員をはじめ、商品の販売スタッフに対して適切な教育を行う仕事。

現場でOJT指導をするのがインストラクター、集合研修・座学を行うのがトレーナーと分けられる場合が多い(※)。いずれもほぼ100%を女性が占める。

※企業によっては逆の呼称であったり、一人でどちらも行う場合もありますが、このページでは本部付きで集合研修を行う職種をトレーナー、現場でのOJT指導役をインストラクターとして解説します。

トレーナー・インストラクターの仕事内容

トレーナーの仕事内容は、本社での座学による集合研修の開催および講師役です。新卒・中途入社時や新商品のリリース時、昇進・昇格時など…様々な対象・目的に合わせた研修を企画・開催します。基本的には本社勤務で、研修がないときは新しい研修プログラムの企画や、上層部と実施内容をすり合わせたり、といった業務を行っている場合が多い仕事です。

インストラクターは、同じ教育指導者ですが店舗など現場でのOJT指導がメインです。スーパーバイザーが担当店舗の売上管理を行うように、インストラクターは担当するエリア内の店舗(数店舗~数十店舗。企業により異なる)の接客力向上をミッションとします。担当店舗を訪れては、接客がちゃんとできているかをチェックし、行き届かない部分がある場合は、その場で指導を行います。この際、自ら手本として接客に立つことも。各地を行脚するため出張が中心となりますが、合間を縫って自席で資料作成などの業務を行うこともあります。

なお、トレーナーとインストラクターが対象とする教育相手は、企業やチャネルにより異なります。

百貨店化粧品→ 美容部員
通販化粧品→ コールセンタースタッフ
訪問販売→ セールスレディ
など

トレーナー・インストラクターの求人数

トレーナー・インストラクターはポジション自体が少ないため、他職種に比べると求人数は少なめです。また、専門性の高さゆえに、化粧品業界専門の転職サイトや人材紹介会社で募集を掛けるため、一般的な求人サイトでは求人が見つからないケースが多いです。
但し、女性が多い職種につき、結婚・出産などに伴う欠員補充は比較的多く実施され、求人倍率が低下しすぎること(=転職したい人の数に対して求人が少なすぎる状態)はありません。

また、販売部員や営業などとは異なる間接部門につき、リーマンショック時などは求人が減少しましたが、現在は、社員教育を重要視する企業が増え、求人数自体も増加の傾向にあります。
各社が教育に注力する背景には、商品だけの差別化が難しくなり、美容部員の接客レベルで他社と一線を画したいとする企業が増えたことがあります。また、商品の副作用問題が取りざたされたことから、問合せに対しても的確に対応できる体制を整えたいと考える企業が増加したことも、その一因と言えるでしょう。

経験者募集が中心ですが、一部に美容部員経験があれば応募可能な求人もあります(時期により異なりますが、多いときで全体の1~2割程度)。

トレーナー・インストラクターの転職 こんなスキルがあると有利

特に美容部員からインストラクターへステップアップを狙う場合、注意したいのはパソコンスキルです。ずっと店舗で接客がメインだったところから一転、インストラクターになると一人一台PCが与えられ、エクセルやパワーポイント、ワード等を使った資料作成業務が発生します。中にはパソコン研修が用意されている企業もありますが、パソコンスクールに通ったり、独学で修得する人が多いようです。

一方、トレーナーの場合は、どれくらい幅広く研修を行っていたかが評価の対象になります。(例えば…集合研修の企画経験があるか、新卒向けだけでなく店長向けや新商品リリース時など)。加えて、インストラクターもトレーナーも、教育時の商品種類の豊富さが鍵に。「スキンケアだけでなくメイクアップも教えていた」など、こちらもどれだけ幅広く行っていたかが評価の対象になるでしょう。

トレーナー・インストラクタの履歴書や職務経歴書、
面接時に工夫すると差が付くポイント

履歴書や職務経歴書では、上で説明したように、経験の幅をしっかりと明記するよう心がけましょう。「箇条書き」「()書き」など、書きやすい形式で、自分の経験した内容を出し惜しみせずに出し切ることが重要です。パソコンのスキルも同様です。何のソフトをどれくらい使えるか、特に「Power point」「Word」「Excel」は忘れずに記載を。まだ使えないという人は、多少勉強してから応募するでも、遅くはありません。

また、応募に先駆けて、応募企業の店舗に足を運んでみることは有効です。Web上で見ただけでなく、実際に店舗の様子や接客の仕方を体験しておくと、より踏み込んだ、説得力のあるアピールができるようになるからです。また、実際の店舗を知っていることから、面接時の会話も自然と弾むでしょう。

このとき、美容部員のメイクを見たり、実際にメイクをしてもらうのも効果的です。
理由は、トレーナー・インストラクターに欠かせないメイク技術を、面接時にチェックされる場合があるため。
一般的には転職時のメイクは「地味かつ清潔感のあるように」とされますが、この業界の、とりわけトレーナー・インストラクターに関しては、応募先の企業に相応しいメイクで臨むことが高評価に繋がります。

トレーナー・インストラクターのキャリアアップ・転職理由

この職種のキャリアアップは、美容部員からスタートし、まずはインストラクターへ。そしてそこからトレーナーへと階段を上がる、というのが一般的です。
キャリアアップ以外で多い転職理由には、次のようなものがあります。

  1. 出張が多いので、もっと少ない会社に行きたい(インストラクターに限る)

    大きな会社や全国展開しているブランド、営業方針として現場主義が強い会社など、出張が多いインストラクターが、その頻度を減らすために転職を希望する場合。

  2. 販売チャネルを変えたい

    通販化粧品にいる人が「コールセンタースタッフではなく美容部員を教えたい」など、今とは違う人を教育対象とするために販売チャネルを変える転職を希望する場合。

  3. 商品やブランドを変えたい

    「もっと有名なブランドに行きたい」「スキンケアだけでなくメイクも扱いたい」といった、扱う商品を変更したいという転職の場合。特にトレーナーに昇格以降、年齢を重ねてくると、若者向けから今の自分の年代・ライフスタイルに合うブランドに転職したい、というこだわりが出てきやすいと言われています。

  4. 接客スタイルの違う企業に行きたい

    教育者として、より方針の合う企業に転職したい、という場合。接客スタイルは、会社によって、「いかに顧客の購入を促すか」という売上重視と、顧客の満足度重視とに分かれます。特に後者は、ブランドによっては店舗も美容部員も売上目標を持たなかったり、顧客アンケートの満足度やクレームの少なさを元にインストラクター・トレーナーの査定が行われる場合もあるほど。売上重視の企業にいて物足りなさを感じた場合は思い切って満足度重視の会社に転職する、満足度だけでなく売上を意識した教育を行いたいという人は売上重視の会社に転職する、など、接客スタイルの違いにも目を向けてみると良いでしょう。

トレーナー・インストラクターの企業選びのポイント

トレーナー・インストラクターがより自分に合う企業へ転職するためには、ブランドや商品の知識に加え、その企業の持つ「販売・接客に対する企業方針」や「出張の頻度」といった情報をいかに入手できるかが鍵となります。

ところが、トレーナー・インストラクター求人にまつわる詳細な情報は、ネット上にはあまり公開されていない場合がほとんど。専門性が高く、経験が問われることが多いこの職種では、マス向けに求人広告を打つよりも化粧品業界に強い人材紹介会社に依頼した方が効率的、という考えが企業側に浸透しているためです。従って、トレーナー・インストラクターの転職では、化粧品業界に強い人材紹介会社に登録し、情報収集することが大前提となります。

その一方、自力でできる情報収集もあります。それは、応募企業の実店舗を訪れること。美容部員の経験がある方なら、実際に接客を受けることで、その企業の販売方針が自分に合っているかどうか、ある程度の見極めが付くでしょう。あらかじめ店舗を知っておくことは、面接での効果的な受け答えにもつながります。少し手間が掛かりますが、ぜひ足を運んでひると良いでしょう。

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