5分でわかる、各職種の転職術
営業職(小売店向け営業)の転職

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化粧品業界で営業職と呼ばれるものは、一般店舗への販路拡大を目的とした小売店向け営業と、百貨店営業の2種類に分かれます。このページでは、小売店向け営業について解説します。

小売店向け営業とは、自社商品の取り扱い店舗を増やすために、ドラッグストアやバラエティショップ、GMS(ゼネラルマーチャンダイズストア。イオンやイトーヨーカドーのような総合スーパーのこと)など小売店に対して営業活動・交渉を行う仕事。企業によってはホールセールという呼ばれ方をすることもあります。9割以上が男性で、折衝する対象ごとに役割が3つに分かれます。

小売店向け営業の営業対象と役割

小売店向け営業の役割は、折衝する対象ごとに下記の3つに分かれています。

  • 小売店本部バイヤー向け営業
  • 店舗向けルート営業(ラウンダー営業)
  • 卸向け営業
  1. 小売店本部バイヤー向け営業

    小売店チェーン全体との契約を獲得すべく、企画書を作り込んだプレゼンテーションで、本部の全店舗を統括するバイヤーと直接交渉を行います。
    契約1つで多額の売上に繋がり得るやりがいがあります。

  2. 店舗向けルート営業(ラウンダー営業)

    担当エリアごとに割り振られた小売店の実店舗を社用車で訪問し、自社商品の営業活動や、既に店頭で販売されている商品のてこ入れ(陳列方法や販売方法などの改善)を行います。一部の大手企業にのみ在籍。

  3. 卸向け営業

    AやBとは異なり、商社(卸・問屋)を介して小売店の店舗や本社に間接的な営業活動を行います。自分に代わって小売店と交渉を行う卸の担当者と折衝を進め、商品や販売方法等を伝達していきます。
    よほど大規模な営業部隊がない限り、全国の店舗向けに直接ルート営業を行うことは難しいため、多くの企業が卸を活用し、販路の拡大を行っています。

小売店向け営業の求人数

現在、求人数は増加傾向にあります。

  • 募集背景は販路拡大のための増員
  • 本部バイヤー向け営業、卸向け営業の求人数が増加
  • 一部企業にしか存在しない店舗向けルート営業も少なめながら求人出現

各企業にとって、営業職は特に売上に直結する部門。ほとんどの企業で採用が見送られたリーマンショック時にも、営業と商品企画だけは活発な採用活動が行われていました。
消費税増税もありましたが、化粧品業界は引き続き堅調。「ローコストなバラエティコスメが売れる」「コアなファン層は引き続き高級化粧品を買い続ける」といった状況から、好景気の企業はさらなる販路拡大を目論み、増員を行っています。また、売れ行きが伸び悩んだ企業も、現状打破のためには新しい販路の獲得が必須。営業職の増員トレンドは、今後もしばらく続くでしょう。

小売店向け営業の転職 こんなスキルがあると有利

営業職で採用の分かれ道になるのは、経験(年数)とスキル(実績)です。大抵の企業では3年以上の経験年数が最低ライン。加えて、これまでの営業成績・実績を重要視します。

また、本部バイヤー向け営業では、特定の小売店との“コネクション”を評価する場合も。
未開拓の小売店とあなたが過去に取引した実績があれば、その信頼関係で新たに契約を結べる可能性があるからです。

また、店舗向けルート営業では自動車免許が当然必須。
小売店本部バイヤー向け営業でも、希に旗艦店を回ることがあるため、持っていると安心です。

  • 3年以上の経験と営業実績を重視
  • 本部バイヤー向け営業では過去の取引先がプラスになることも
  • 運転免許は店舗向けルート営業で必須、本部バイヤー向けの場合もあると安心

現在は求人数が多く、他の職種に比べれば転職者有利と言われる営業職。
ここ数年、転職の難易度は低くなっていますから、それなりの経験と実績の持ち主であれば、安心して企業選びを行うことができます。

小売店向け営業の履歴書や職務経歴書、
面接時に工夫すると差がつくポイント

最重要視される営業実績をできるだけ詳しく書くことです。達成率や昨対比、社内順位、社内受賞歴などは、直近の成績だけでなく過去の分まで余すことなく履歴書に記載。面接時もハッキリと伝えましょう。

また、過去の実績も、ドラッグストア、バラエティストア、GMS問わず、取引先全てを洗い出した上で列挙すること。あなたが持つ取引先とのコネクションに、応募企業が何かしら興味や期待を寄せるかもしれません。

また、証明写真での雰囲気も重要視されます。不健康そうに見える写真は当然NG。
爽やかさと清潔感に加えて、スーツやネクタイのセレクトなど、さりげないファッションセンスが感じられるものが好まれるようです。

小売店向け営業のキャリアアップ その1

管理職ともなれば、1000万円を超える年収を得られることも少なくありません。小売店向け営業のキャリアアップは、「どの企業で管理職・上級職を目指すか」にあると言えるでしょう。

リーダーやマネージャー、部長…と、1社の中で昇格していくのも手ですが、現実問題、長く勤めていると何かと不安もでてくるものです。「自社の商品力が低いせいでどんな頑張っても成績が上がらない」「ブランドが愛せなくなってきた」など、環境を変える必要性が出てきたら、下記いずれかの方法で、転職しながらキャリアアップの道を模索することになるでしょう。

  • まず行きたい企業へ転職をして、内部で昇進・昇格を狙う
  • 直接マネージャーや管理職候補の求人に応募する

特に近年では、本部バイヤー向け営業を中心に、管理職前提の求人も増えてきています。
多くの場合が欠員補充ですが、中には「新しい販路を切り拓き企業の命運を左右する人材を募集する」という目的で、経験20~30年のベテランを求める企業も見られます。

小売店向け営業のキャリアアップ その2

一般に店舗向けルート営業から卸向け営業、卸向けから店舗向けへの転職は少ないものの、小売店本部バイヤー向け営業職へ転向を希望するケースは、キャリアアップの一環として存在します。

通常の転職に比べると難易度は上がりますが、決して不可能ではありません。確かに大手企業の小売店本部バイヤー向け営業職は、新卒(生え抜き)社員が長い年月を掛けてようやく就ける難関ポジションのため、中途求人自体少ないもの。ですが、ベンチャーや中堅企業では活発に募集が行われています。まずは応募可能な企業で、本部バイヤー向け営業としての経験を積むことから初めてみてはいかがでしょうか。

小売店向け営業の企業選びのポイント

営業職の企業選びのポイントは、「表面的な情報に惑わされない」こと。

ブランド力で企業を選ぶ際は、商品群の認知度だけでなく売上数字にも注目を。
企業の安定性を求める場合も、企業規模(従業員数)だけでなく、企業とその軸となる商品群の将来性まで見た上で判断しましょう。

また、求人情報に記載された年収額を見て「これしか給与が出ないのか」と判断するのは早計です。
例えば年収300~600万円と書かれた求人でも、面接での評価が良い場合は、600万円以上の額を提示されることも少なくありません。

なぜなら営業職は会社の利益に最も直結する部門。もちろん企業によりますが、多額の売上を生む人材ならば、例え数百万円高い給与を支給してでも、ぜひ採用したいと考えるものです。
また、入社後も大いに給与アップの可能性はあります。額面を見て「自分は700万円以上希望だから…」などと敬遠せず、気になった企業には積極的に応募してみると良いでしょう。

営業職の給与は面接が終わるまでわからない、と捉え、まずはブランド力や安定性といった、あなたの重視する基準で企業を選ぶことがポイントです。

ブランド力のある企業、愛着のある企業で働けるようになれば、自ずと今より仕事に精が出るというもの。営業活動がスムーズになり、結果として評価・給与がアップしていくことでしょう。

  • ブランド力は認知度+売上高に注目
  • 企業の安定性は従業員数+商品群で判断
  • 求人情報に書かれている年収額にとらわれすぎないこと
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