5分でわかる、各職種の転職術
営業職(百貨店営業)の転職

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化粧品業界で営業職と呼ばれるものは、一般店舗への販路拡大を目的とした小売店向け営業と、百貨店営業の2種類に分かれます。このページでは、百貨店営業について解説します。

百貨店営業は、その名の通り、伊勢丹や阪急といった百貨店に対する各種営業活動を行う仕事。現在、国内には全部で240店舗以上(2014年6月18日現在・日本百貨店協会調べ)の百貨店が存在します。その1店舗1店舗を対象に、これまで取引のなかった百貨店に売り場を出すための交渉や、既に取引がある場合は自社の売り場の面積の拡大や立地の変更といった自社製品のプライオリティを高めるための提案・交渉を行います。ほとんどの企業では、1人で全国ないしは東日本・西日本といった広域を担当するため、出張は多め。男性が多く活躍している職種です。

百貨店営業の営業対象と役割

百貨店営業が交渉を行う相手は、全国に広がる各百貨店。
具体的には、コスメ売り場を統括するフロアマネージャーが対象です。
百貨店のフロアマネージャーは、フロア(階層)ごとに売上目標を持っています。

そのため百貨店営業は、自社製品が売れることで百貨店の売上げも最大化できるようなwinwinの関係を目指すことで信頼関係を構築していきます。単に自社製品を売り込むだけではなく、商品コンセプトや世界観・プロモーション内容を説明したり、顧客のニーズや他店の売上げデータといった根拠を交えたマーチャンダイジングの提案など…多角的な交渉が必要になります。百貨店に支払う賃料を抑えつつ、いかに良い場所に売り場を持っていけるかが、百貨店営業の腕の見せどころです。

基本的には自社売り場のオープン(または移転)やリニューアルが成功するまでに責任を持つ仕事ですが、企業によっては、美容部員の管理や売上げ管理といったスーパーバイザー的な役割までこなす場合があります。

百貨店営業の求人数

国内の百貨店数が限られているため、百貨店営業は従事者自体少なく、求人も常に多くはありません。特にリーマンショック以降は高額化粧品の売上げが落ち込み、東日本大震災直後は百貨店の電力節減(エアコンOFF、照明間引き)の影響もあり、百貨店化粧品全体の売上がダウン。
求人数もより少ないものになりました。

ここ1~2年は景気回復による下支えもあり、売上、求人数ともに回復。欠員補充や新規ブランド参入に伴う募集が徐々に増えるようになりました。ですが、百貨店自体の閉店・統合が相次いでいるため、今後も爆発的に求人数が増えることはないと言われています。
但し、近年はマルイやパルコといったファッションビル、ららぽーとやイオンモールのような若者向けのショッピングモールへの百貨店型売り場の出店を検討する動きもあるようです。
今後こうした販路拡大の動きが本格化すれば、百貨店営業の求人数も増加することでしょう。

百貨店営業の転職 こんなスキルがあると有利

百貨店という特殊な環境で活躍する専門職であることから、求人は基本的に百貨店営業の経験者を対象としたものに限られます。営業未経験の場合は当然のこと、他業種で営業経験がある場合や、化粧品業界で小売店向け営業を経験した場合でさえ、書類選考を通過できない場合がほとんどです。
厳密に百貨店営業経験者のみを募集する反面、その母数自体が少ないこともあり、経験面さえ満たしていれば、出身企業の規模や仕事の幅(スーパーバイザー職との業務バランス)を厳しく見られることはありません。中堅企業から大手へ移ることもじゅうぶんに可能です。

また、どの企業に移っても、これまで百貨店フロアマネージャーと築き上げてきた信頼関係が活きるのは間違いありません。応募先の企業が苦戦している百貨店と取引経験がある、など、企業側にとって魅力となる取引実績を持つ場合は、評価に繋がりやすいでしょう。

百貨店営業の履歴書や職務経歴書、
面接時に工夫すると差がつくポイント

企業側が求めているのは即戦力となる人材。
やはり重要なのは、どういう百貨店と交渉・取引をした経験があるのかをハッキリと伝えることです。
その際は、「より良い立地に出店したことで昨対比で○%を達成」「負債3店舗を統合し黒字化」など、具体的な結果=実績も必ず添えるようにしましょう。

加えて、なぜそのような結果を残すことができたのか…具体的な取り組みや工夫したポイントを説明することで、より採用担当者には伝わりやすい説明になります。

百貨店営業のキャリアアップ

専門職である百貨店営業では、主に次のような目的での転職が多い傾向にあります。

  • 挑戦したい企業・憧れのブランドへの転職
  • 勤務先の業績が良くないため、より安定した企業への転職
  • 「外資に行きたい」「スキンケアがやりたい」など志向を実現するための転職

就業人口が少なく、百貨店営業部門の組織が小さいこともあり、昇格よりも専門職・プロとしていかに納得できる環境に身を置くか、が重視されるようです。

百貨店営業の企業選びのポイント

求人を出している企業自体が限られているため、「どうしてもここに行きたい」という人以外は、現在募集がある企業の中で、自分の求めている条件に近い企業を探していくことになります。

このとき、ポイントとなるのは「肉眼で見てから判断すること」。
求人数自体が限られていますから、求人情報や企業ホームページに書かれている内容だけでえり好みせず、少しでも気になった企業には面接に行ってみることです。事前情報では希望と異なっていた企業も、実際に見てみると条件に近かった…というケースも少なくありません。

それでも見つからないときは、転職を急がず、時期をずらして改めて探してみるなど、どっしりと構えて待つことも重要です。

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