化粧品業界の職務経歴書の書き方 薬事編

160711_pixta_6643396_M_R化粧品業界で転職する際に必要な職務経歴書。今回は薬事の職務経歴書について、書き方とポイントを解説していきます。総括製造販売責任者の経験がある人、ない人、どちらの場合もアピールすべき点をお伝えします。

※このページでは職種別に職務経歴書の書き方を解説します。全ての職種に共通する、化粧品業界の職務経歴書の基本的な書き方は下記をご参照ください。
全職種共通・化粧品業界の職務経歴書の書き方

化粧品業界の薬事向け 職務経歴書テンプレート

Wordですぐ使える、薬事専用の職務経歴書テンプレートをご用意しました。下記のリンクよりダウンロードの上、ご活用下さい。

《薬事》職務経歴書サンプル(Wordファイル)

薬事の職務経歴書作成のポイント

薬事経験者は日頃から書類と向き合っていることもあり、それほど苦労せずとも職務経歴書の内容を埋めることができるかもしれません。ですが、そんな書類作成に慣れている薬事だからこそ意識したいポイントがあります。それは、事実を客観的に書くだけでなく、時には熱っぽく、主観的にアピールするということ。

その上で、薬事の職務経歴書では次の2点を重点的に伝えるよう心がけましょう。

・経験した業務の幅
・コミュニケーションスキルと自発性

では、職務経歴書の中でこれらをどのように伝えて行くべきか。記入見本を元に解説していきます。

薬事の職務経歴書の書き方

薬事_サンプル

薬事の職務経歴書見本(※クリックするとフルサイズ版をご確認いただけます)

薬事の【職務概要】の書き方

職務概要は、職務経歴書の最初にくる項目です。基本的には2~3行でこれから書く職務経歴の要約を記しますが、薬事の場合は経験年数と経験者数を数字で明確に伝えておくと効果的。また、どの程度の幅、業務を経験したかを簡潔にまとめると良いでしょう。「総括製造販売責任者」を勤めた経験がある人は特にアピールになるため、ぜひとも盛り込んでおきましょう。

薬事の【職務経歴】欄1.勤めていた(いる)会社について

薬事_職務経歴欄

職務経歴欄(勤めていた会社)の記入見本

まずは、見本のように会社の規模をひととおり説明します。

・会社区分…株式公開について記載。東証一部、JASDAQ上場、非上場など
・事業内容…会社の主な事業内容を明記。
・資本金と従業員数…企業のホームページなどを確認し最新の正確なデータを記載
・雇用形態…正社員、契約社員、派遣、アルバイトなど

その後、配属先を明記。いつ、何と言う部署に配属されたのか。配属先が変更された場合は合わせて書きましょう。また、途中で昇格があった場合はアピールになります。見本のようにぜひ記載を。「総括製造販売責任者」を勤めていた場合は、ここにも書いておきましょう。

薬事_職務経歴2

「統括製造販売責任者」を入れる場合の記入例

 

薬事の【職務経歴】欄2.<主な担当業務>を書く

薬事_主な担当業務

<主な担当業務>の記入見本

職務経歴欄で自身の経験を語る上でのポイントは、業務と担当商品それぞれの幅を明確にすることです。企業によっては薬事が社内に1人か2人という場合もあるため、できるだけ多くのモノ・業務に対応できる方が望ましいからです。特に応募する企業で扱っている商品や任される可能性がある業務内容と近しい経験は、忘れずに記載しましょう。

まずは、担当商品の幅を伝えるところから。配属先や昇格の次に、<主な担当業務>という小見出しを立て、薬事業務を担当した商品について詳しく記載します。スキンケアやヘアケア、メイクアップなど…担当した商品の種類を必ずすべて記載するようにします。また、担当ブランド名・商品名・発売回数も忘れずに書きましょう。

続いて、具体的な仕事内容を記します。見本のように箇条書きで行った業務を全て書き出していきましょう。中でも、より責任ある立場で業務を行っていたとわかる薬事届出業務はできるだけ上の方、目立つ位置に書くと良いでしょう。

薬事届出を行っていなかった人は…

いわゆる統括製造販売責任者でなかった人でも、届出業務に何らかの形で関わっていた人は、評価される場合が多いです。例えば届出自体は統括製造販売責任者が行っていたものの、必要な書類はあなたが代理で作成していたり、もしくは書類作成を補佐していたり。今一度、自分の経験を振り返ってみるとよいでしょう。

輸入販売を行う企業に勤めていた際は要注意

外資系企業など、海外の製品を輸入し販売する企業で薬事を行っていた場合、「化粧品輸入届」や「輸入先・海外製造とのやりとり」が発生します。あなたがもし再びそうした輸入販売を行っている企業に応募するなら、これらの業務も省略せず書きましょう。国内企業に勤めていた薬事にはないアピール材料になります。

薬事_主な担当業務2

「輸入販売関連業務」の書き方見本

 

 薬事の【職務経歴】欄3.<Topics>を書く

薬事_Topics

Topicsの記入見本

続いて、経験業務欄だけでは伝えることが難しい「コミュニケーションスキル」について、<Toipcs>欄を設けて説明していきましょう。

薬事という仕事は、導入可否調査のように、製品や広告が薬事法に抵触していないかを判断する役割。その立場上、商品企画やPR、販促といった社内の他部署に対してどこか「悪役」になってしまいがちです。だからといって、毎回、軋轢を生んでしまうような仕事の進め方は、決して好ましいものではありません。企業側としては、できる限り他部署と良好な関係性を築くことができる薬事を求めています。

従って、コミュニケーションスキルの中でも、伝えるべきは建設的な振る舞いをしてきたかどうか。例えば薬事法に抵触する可能性がある広告表記について単にNGと突き返すのではなく、広告制作者の意図を汲みながら、「例えばこういう表現なら薬事法に抵触せず、伝えたい意図を伝えられると思います」と提案した経験。あるいは相手と一緒に代替案を考えることに注力してきたことなどを、事例付きで書くと良いでしょう。

【職務実績】欄

薬事における職務の実績とは、どれだけの商品を上市に導くことができたのか…申請業務の量こそが、貢献度を示すバロメーターです。「入社○年間で○つのアイテムを上市」などというように、自分がチェックした商品がどれだけ世に出たかを具体的な数字入りで記載しましょう。

また、「化粧品製造販売業許可」「化粧品製造業許可」の販売・更新に携わった人は必ず実績として記載するように心がけましょう。

【資格】欄と【PCスキル】欄

薬事は、特に資格が問われる職種ではありません。ですが、普通自動車免許は持っているなら書いておいた方がよいでしょう。業務で地方の工場を回る際など、何かと必要になる可能性があるからです。

加えて、薬剤師資格を持っている場合は、書くことでアピールに繋がるでしょう。
また、外資系企業や輸入販売を手がける企業に転職しようとする場合は、英語力(TOEIC700点以上)が必須です。TOEICのスコアを書く場合は、有効期限に注意。試験から2年以上経過している場合は、期限切れとなります。

PCスキルに関しては、Wordやexcelなどをある程度使えればそれ以上を求められることはありません。

薬事の【自己PR】欄の書き方

薬事_自己PR

自己PR欄の記入見本

自己PR欄は、ここまでの職務経歴書の内容を振り返りながら、「いかに自分が応募先企業にとって相応しい人材か」をアピールする部分。いわば職務経歴書の総まとめです。

これまでに書いた内容(各社での「主な担当業務」と「Topics」。業務の幅とコミュニケーションスキル)を改めて強調しましょう。その際は、応募先の商品群や業務内容と関係性の深い部分を特に強調するように心がけましょう。その上で、自発性・主体性をアピールすることが、訴求力のある自己PR欄を書く上でのポイントです。

自発性・主体性

薬事の求人は、大手企業よりも中堅やベンチャー企業の方が多い傾向にあります。規模が小さな企業では、薬事が社内に1~2名しかいなかったり、申請に関わるフローが未整備だったりと…指示待ちではつとまらない環境にあることも。そういった企業に応募する場合は確実に、そうでない場合も、自発的に仕事に取り組む姿勢は高く評価されるでしょう。

例えば「未整備だった業務フローを自ら整備し、フォーマット化した」など、何か自発的・主体的に業務に取り組み、結果に結びついた経験がある場合はエピソードを添えて書くと、あなたを採用した場合の会社への貢献度が伝わり、大きなアピールに繋がります。

まとめ

薬事の職務経歴書で注意すべき点は、

・業務の幅
・コミュニケーションスキル
・自発性・主体性

の3点を伝えること。【職務経歴】欄で担当業務の幅を伝え、コミュニケーションスキルはTopics欄で事例を添えて、自発性・主体性は自己PR欄に盛り込みましょう。

薬学・化学系の素養が求められる薬事は、転職者の数が少ないため、他の職種と比べれば、そこまで高いレベルが求められないことも。統括製造販売責任者の経験がなければ不利になる、とあきらめず、自分の経験を応募書類に絞り出して企業にぶつければ、きっと道は開かれることでしょう。

未経験で薬事を目指そうとしている人は要注意

化粧品業界の薬事として活躍するためには、主に化学・薬学などの理系学科出身であることが望まれます。また、薬事申請業務を行う「総括製造販売責任者」を経験できるのは、次の4つのうちいずれかに該当する場合のみと法律で定められています。

1 薬剤師
2 旧制中学若しくは高校又はこれと同等以上の学校で、薬学又は化学に関する専門の課程を修了した者
3 旧制中学若しくは高校又はこれと同等以上の学校で、薬学又は化学に関する科目を修得した後、医薬品、医薬部外品又は化粧品の品質管理又は製造販売後安全管理に関する業務に3年以上従事した者
4 厚生労働大臣が前三号に掲げる者と同等以上の知識経験を有すると認めた者
(同施行規則第85条2項)

薬事とは

薬事とは、化粧品メーカーが薬事法に抵触せず、製品を生産・販売できるよう、法関連の申請・チェック業務を行う職種。薬事法のプロフェッショナルとして、製品の中身やパッケージ、および広告表記のチェックを行うほか、厚生労働省への薬事申請業務を担当します。

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