化粧品業界の職務経歴書の書き方 研究職編

pixta_17214432_M化粧品業界で転職する際に必要な職務経歴書。今回は研究職の職務経歴書について、中でも特に人口の多い「スキンケアの処方開発」を例に挙げながら、書き方とポイントを解説していきます。

※このページでは職種別に職務経歴書の書き方を解説します。全ての職種に共通する、化粧品業界の職務経歴書の基本的な書き方は下記をご参照ください。
全職種共通・化粧品業界の職務経歴書の書き方

化粧品業界の研究職向け 職務経歴書テンプレート

Wordですぐ使える、研究職専用の職務経歴書テンプレートをご用意しました。下記のリンクよりダウンロードの上、ご活用下さい。

《研究職》職務経歴書サンプル(Wordファイル)

研究職の職務経歴書作成のポイント

研究職の職務経歴書を作成する上でのポイントは、下記3点を明確に伝えることです。

・業務の幅
・担当した化粧品の種類
・使用経験のある機器の種類

業務の幅に加えて担当した化粧品や使用した機器の種類まで書く必要があるのは、そこまで細かく見た上で採用判断を行いたいという企業が大半だからです。

キャリアが処方開発・基礎研究、液体と粉体(またはスキンケアとメイクアップ)とにきっぱり分かれる研究職の場合、企業の採用基準はとても明確です。何を作った経験があるか、またそれを作るためにどんな環境(機器)に慣れ親しんでいるか。企業側が「こういう機器でこういうものを作れる人が欲しい」と提示している以上、それらに答えなくては企業側もあなたを選びようがないのです。

従って、「処方開発として3年以上の経験があり、液体の開発実績が豊富。中でも化粧水と乳液とハンドクリームの経験がある人を求める」といった企業側の採用条件に対し、いかに合致した人物という印象を与えられるかがポイントとなります。

では、職務経歴書の中でこれらをどのように伝えて行くべきか。記入見本を元に解説していきます。

研究職の職務経歴書の書き方

研究職_サンプル

研究職の職務経歴書見本(※クリックすると拡大します)

研究職の【職務概要】の書き方

職務概要は、職務経歴書の最初にくる項目です。基本的には2~3行でこれから書く職務経歴の要約を記しますが、研究職の場合は、「何社経験・何年経験か」「担当した業務の幅はどの程度か」を簡潔にまとめると良いでしょう。

研究職の【職務経歴】欄1.勤めていた(いる)会社について

職務経歴欄(勤めていた会社)の記入見本

職務経歴欄(勤めていた会社)の記入見本

まずは、見本のように会社の規模をひととおり説明します。

・会社区分…株式公開について記載。東証一部、JASDAQ上場、非上場など
・事業内容…会社の主な事業内容を明記。
・資本金と従業員数…企業のホームページなどを確認し最新の正確なデータを記載
・雇用形態…正社員、契約社員、派遣、アルバイトなど

その後、配属先を明記。いつ、何と言う部署に配属されたのか。配属先が変更された場合は合わせて書きましょう。また、途中で昇格があった場合はアピールになります。見本のようにぜひ記載を。

研究職の【職務経歴】欄2.<主な担当業務>を書く

職務経歴欄(主な担当業務)の記入見本

職務経歴欄(主な担当業務)の記入見本

配属先や昇格の次は、いよいよ担当した化粧品の種類を明記します。まず、<主な担当業務>という小見出しを立て、その中にあなたがどんな商品の処方開発を担当していたかを記載します。

担当製品の種類は、液体/粉体というだけでなく、化粧水・ファンデーション・マスカラ…といった具体的な種類まで必ず記載しましょう。ブランド名と商品名はぜひとも明記したいところです。発売回数と合わせて記載しましょう。

社外秘扱いになっている場合は、無理に明記するとトラブルの元。とはいえ、全く何も書かない状態は、相手に何も伝わらないためもったいないです。「同社最注力ブランドのスキンケアライン」など、具体名を出さずに伝えられないか検討しましょう。

続いて、具体的な仕事内容を記します。見本のように「■自社化粧品(商品種類)の処方開発」と見出しを立てたら、箇条書きであなたが行った業務を全て書き出していきましょう。書く順番としては、ボリュームの大きいものから降順に。但し、どんなに作業量の少なかったものでも、省略せず書き尽くすのがポイントです。

一番評価されるのは、製品コンセプトの立案から発売に至るまでの一連の業務を経験した人物。当てはまる人は必ずそのことが伝わるよう、業務内容を全て書き尽くした上で、「一連の業務を経験」と明記するようにしましょう。

工場の立ち会いやOEM窓口業務経験は+αとして評価されやすい

生産スケールアップ対応や生産立ち会いといった工場を訪問しての業務、またはOEMメーカーとの窓口業務を行った経験がある人は、ぜひ記載を。いずれも責任のある仕事を行っていたという見られ方をしますし、コミュニケーションスキルや折衝力があるという証にも繋がります。

<記入例>
■ OEM窓口業務
・工賃依頼
・仕様の確認連絡
・充填・仕上げ・生産立会(工場にて)
・新規取引の際の窓口業務関連(パレット運用・発注関連部署とのマッチング業務)

原料の検討と処方決定を自分で行っていた人は高評価

あなたは、先輩や本部側から指示された通りの処方時の掛け合わせを行うだけですか? それとも自ら処方決定まで行っていましたか? もし後者なら、必ず職務経歴欄には明記しておきましょう。一人で処方決定できるスキルがあったとしても、会社側の方針としてそれをさせてもらえず、経験が積めない人が多い中、独力で処方決定を行ってきたあなたの経験はとても高く評価されるでしょう。

研究職の【職務経歴】欄3.<Topics>を書く

化粧品業界では、経験・スキルに加えて、「日頃から化粧品に対してどれくらい高い関心を注いでいるか」という業界適性を見られることがあります。
職務経歴書は業務経験について記載する書類ですが、あえて意欲の高さを示すため、Topicsという欄を設けましょう。

<Topics>欄には、あなたの化粧品に対する興味関心の高さを記します。ただ化粧品が好きというだけでなく、自発的に他社の商品や流行をモニタリングしているかどうかを、エピソードを添えて示すと良いでしょう。

<Topics>
 ・流行や消費者からの需要を肌で感じることが出来るよう、店頭に足を運ぶ機会や消費者にヒアリングする機会を積極的に設けていました。
・ブランド管理を行う上で、社内外様々な部署の方々とコミュニケーションを取る機会が多いため、スピード感を意識し、齟齬なく業務を進められるように努めていました。

【職務実績】欄

職務実績には、自分の開発した化粧品の売上げについて記載しましょう。売れゆきはPRや広報、販促などの実力次第の点も多分にありますが、「中身が良かったから売れた」という評価には繋がります。売れ行きが芳しくなかったものをあえて書く必要はありませんが、ヒットした商品があればぜひとも書きましょう。

【使用機器】欄

使用機器欄は、PCよりもアナログのツールや様々な計測機器を用いる研究職特有の部分です。一般的な職務経歴書には登場しないため、なじみが薄いかもませんが、即戦力募集の研究職の場合「何が使えて、何の使用経験がないか」を伝えることはとても重要です。これまでに使用した経験のある機器は、全て書きましょう。

なお、メーカーの違いや新旧モデルによる違いで使用方法が大きく異なる可能性がある機器は、メーカー名や製造年まで書くと誤解がなくあなたのスキルが伝われます。企業によって取りそろえている機器が微妙に異なるため、メーカーや新旧規格の違いなどを気にされることが多いからです。

【資格】欄と【PCスキル】欄

研究職は、特に資格が問われる職種ではありません。仕事と無関係の資格を無理やり書く必要もなく、持っている人は自動車運転免許や語学系の資格を書くくらいでOKです。何もなければ「特になし」と書いても、評価に響くことはありません。

PCスキルも同様です。Wordやexcelなどをある程度使えればそれ以上を求められることはありません。

研究職の【自己PR】欄の書き方

自己PR欄は、ここまでの職務経歴書の内容を振り返りながら、「いかに自分が応募先企業にとって相応しい人材か」をアピールする部分。いわば職務経歴書の総まとめです。

次の2点をベースに、これまでの職歴や実績をまとめましょう。

いかに幅広く仕事を手がけてきたか
 (開発業務だけでなくOEM対応や生産立ち会いなどを幅広く行った人はその旨も書く)
手がけた商品は世の中にどれくらい指示・評価されたのか
 (売上や雑誌・メディアでの評価を書く)

中でも特に力を入れて伝えるべき部分は、もう一度応募する企業の求人を読み込むと、見えてくるでしょう。その企業が何を求めているのか、それに対して伝えるべき自分の強みはどこなのか…明らかにした上で書き始めましょう。

とはいえ、何が何でも自分を売り込もう、と肩肘張る必要ありません。研究職として、どれくらいの実力を持っているのかが正確に伝わればじゅうぶんです。抽象的な売り文句を並べるのではなく、「25種類の化粧品を開発した」「120万個売れた」「開発業務だけでなく工場での立ち会いも担当した」など、数字や例を用いた具体的な説明を心がけましょう。

まとめ

研究職の職務経歴書で注意すべき点は、
業務の幅
担当した化粧品の種類
使用経験のある機器の種類
の3点を伝えること。【職務経歴】欄で担当業務の幅や化粧品の種類の豊富さを伝え、使用経験のある機器はPC・スキルとは別に【使用機器】欄を設けることで伝えます。

研究職は、かなり明確な採用条件が提示される場合が多いため、企業側に最も注力して伝えるべき点が押さえられているか、採用判断に必要な情報を全て記載できているか…書き終わったあとにもう一度、求人を見ながらチェックすると良いでしょう。

研究職とは

化粧品業界の研究職とは、新商品のバルクの成分配合に関わる業務。大きく分けて処方開発と基礎研究に分かれます。
処方開発は既存の成分を組み合わせ、配合を決定する仕事。商品開発の企画を実現する。

一方、基礎研究は、新しい成分そのものを見つけ出す役割。花王や資生堂、コーセー、PORAといった大手企業にしか在籍していない場合が多い。
基礎研究も処方開発も、担当する化粧品がスキンケアかメイクアップかで、業務内容やキャリアは大きく分かれます。

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