化粧品業界の職務経歴書の書き方 デザイナー編

デザイナーイメージ化粧品業界で転職する際に必要な職務経歴書。今回はデザイナーの職務経歴書について、書き方とポイントを解説していきます。デザイナーの職種は、グラフィックデザイン系とパッケージデザイン系に大きく大別されますが、ここでは両方に対応した書き方を解説していきます。

※このページでは職種別に職務経歴書の書き方を解説します。全ての職種に共通する、化粧品業界の職務経歴書の基本的な書き方は下記をご参照ください。
全職種共通・化粧品業界の職務経歴書の書き方

化粧品業界のデザイナー向け 職務経歴書テンプレート

Wordですぐ使える、デザイナー専用の職務経歴書テンプレートをご用意しました。下記のリンクよりダウンロードの上、ご活用下さい。

《デザイナー》職務経歴書サンプル(Wordファイル)

デザイナーの職務経歴書作成のポイント

デザイナーにとっての職務経歴書は、別途提出するポートフォリオ(※)の補足資料という側面が大きいです。デザインは文字や言葉で表しても伝わりづらいもの。従って、デザイナーは応募書類として、過去の作品を収録したポートフォリオと職務経歴書を必ずセットで用意し、職務経歴書にはポートフォリオが伝えられない、言葉でしか伝わらない部分を書くように棲み分けましょう。

※ポートフォリオの作り方はこちら

職務経歴書で伝えたい部分は、次の4つが挙げられます。

在籍した企業のどんなデザインを担ったか(ブランドや商品、制作物の種類など)
上記作成のボリューム感とスピード感
冊子やPOPだけでなく什器の作成経験の有無(グラフィックデザイナーの場合)
VI(ヴィジュアルアイデンティティ)経験の有無(パッケージデザイナーの場合)

では、職務経歴書の中でこれらをどう伝えて行くべきか。見本を元に解説していきます。

デザイナーの職務経歴書の書き方

デザイナー_サンプル

デザイナーの職務経歴書見本(※クリックで拡大します)

 

デザイナーの【職務概要】の書き方

職務経歴書の冒頭にくる職務概要の欄。デザイナーはまず、「グラフィック(什器含むか否か)・パッケージ・VI」のうち、どの部分をやっていたのかを明記。加えてデザイナーとしての経験年数とこれまでの経験社数(※)を記載しましょう。

基本的には2~3行程度の分量で。無理に文章化せず、箇条書きで構いません。

※経験者数は転職にあたって気にされる場合が多く、基本的には20代であれば転職回数1回、30代前半なら2回まで…というところが多いものの、デザイナーの場合は転職によってキャリアを深めて行く場合もあるため、寛容な企業が多いと言われています。

デザイナーの【職務経歴】欄1.勤めていた(いる)会社について

デザイナー_職務経歴

職務経歴欄(勤めていた会社)の記入見本

 まずは、見本のように会社の規模をひととおり説明します。

会社区分…株式公開について記載。東証一部、JASDAQ上場、非上場など
事業内容…会社の主な事業内容を明記
資本金と従業員数…企業のホームページなどを確認し最新の正確なデータを記載
雇用形態…正社員、契約社員、派遣、アルバイトなど

その後、配属先を明記。いつ、何と言う部署に配属されたのか。配属先が変更された場合は合わせて書きましょう。また、途中で昇格があった場合はアピールになります。見本のようにぜひ記載を。

デザイナーの【職務経歴】欄2.<主な担当業務>を書く

デザイナー_主な担当業務

<主な担当業務>の記入見本1

デザイナー_主な担当業務2

<主な担当業務>の記入見本2

主な担当業務欄では、まずデザイナーとしてその会社で行っていたことの概要を示します。見本のように、自社のどんな化粧品の何を担当していたかを記載すれば問題ありません。商品の幅も大切ですが、グラフィックなのかパッケージなのか、それとも両方なのかを必ず記すことも重要です。

基本的にはグラフィックかパッケージかのいずれかを書くかたちが多いと思いますが、1社で両方を担っていた場合は、見本1のように両方記載しておきましょう。

また見本2の「パッケージデザインとクリエイティブディレクション」のように、プレイヤーとしての職務とマネジメント職務とを併記することも可能です。

見本のように、担当ブランド名も項目を立てて書きましょう。ボリューム感を示すためには、多いに越したことはありません。一度でも手がけたことのあるブランドは出し惜しみせず書いてしまいましょう。

担当ブランド名を記載したら、続いて見出しを立てて具体的な業務内容をすべてあまさず羅列していきます。見出しはパッケージデザインやグラフィックデザインというように、職務の種類で分けてしまうのがベター。どちらか一方しか経験がない場合も、職務経歴書を見やすくする意味で見出しは立てた方が無難です。

グラフィックデザイナーの業務内容の書き方

列挙する内容は、基本的に手がけたもの全てです。DMやカタログ、什器など…制作物の具体的な種類、それをデザインしたのかディレクションしたのかを明記します。特に什器を手がけた経験はアピールになるものです。一度でも経験していた場合は必ず書くようにしましょう。

パッケージデザイナーの業務内容の書き方

パッケージデザイナーの業務内容は、VI(ヴィジュアルアイデンティティ)の確立に携わった経験があれば書くと高評価です。また、パッケージデザイン業務以外にも、例えば商品プロモーション用の動画やポスターなど…幅広く手がけた経験がある場合は、ぜひとも記載しておきましょう。

デザイナーの【職務経歴】欄3.<Topics>を書く

デザイナー_topics

<Topics>の記入見本

デザイナーがTopics欄で伝えるべき内容は、主に2つ。仕事のスピードとデザインを行う上でのスタンスです。

企業側としては、ポートフォリオで良いデザインを作れるとわかっても、すぐに採用に踏み切ろうとは思いません。そのデザインがどれくらいの早さで、どんな考えの基に作られたものなのか…デザインの裏側にある見えない部分を確かめずにはいられないからです。

仕事の早さは、「1ヶ月でどれくらいのボリュームの業務をこなしているか」で示すと効果的。デザイナーとしてのスタンスは、デザインをする上でどんな点を大切にしていたかを見本のようにできる限り論理的に説明すると良いでしょう。

【職務実績】欄

デザイナーにおける職務の実績は、やはりどれだけ多くのヒット商品に恵まれたかで決まります。デザイン関連の賞を受賞した経験も評価対象にはなりますが、何より売れている商品を手がけた人物であるということが最大の決め手になります。これはパッケージデザインもグラフィックデザインも変わりません。

商品の売れ行きを定量的に示すには、発売日から特定の期間でどれだけ出荷されたかという出荷実績や、アットコスメを初めとする各種サイトでのランキング結果を引っ張ってくると良いでしょう。

基本的に職務実績は良い結果を残したものを中心に書けばOK。大ゴケしてしまったような商品をあえて書く必要はありません。

【資格】欄と【PCスキル】欄

デザイナー_資格・スキル

<資格><PCスキル>の記入見本

デザイナーは、特に資格が問われる職種ではありません。英語もしゃべれれば尚可という程度で、必須になることはほとんどないでしょう。

大切なのはPCスキル。PhotoshopとIllustratorに関しては、使えるというだけでなく、どんな作業に使用することができるかも合わせて記載しておきましょう。Vectorworksなど3DCADソフトの使用経験がある人も同様です。

また、うっかり忘れがちなのがWord・Excel・Powerpointのマイクロソフトオフィス系ソフト。使用経験は基礎レベルでじゅうぶんですが、書かなくてもわかるだろう、と思って省略せず、「このソフトで何ができるか」まで明記するように努めましょう。

デザイナーの【自己PR】欄の書き方

デザイナー_自己PR

自己PR欄の記入見本

自己PR欄は、ここまでの内容を振り返りながら、「いかに自分が応募先企業にとって相応しい人材か」をアピールする職務経歴書の総まとめです。ですが、デザイナーの場合、企業との相性はデザインのテイスト次第となるため、ポートフォリオで伝えるのが効果的。

職務経歴書の自己PR欄は、あくまでその補足資料として、これまでに伝えてこなかったコミュニケーションスキルについて語りましょう。ポートフォリオでデザインスキルとテイストを、ここまでの職務経歴書で業務の幅やスピード感、デザイナーとしてのポリシーを理解した企業にとって、残る懸念は社交性や折衝力。企業の中には、デザイナーというと独特の感性を持っていてコミュニケーションを苦手とする人も多い、という印象を持っているケースも少なくありません。組織人として、あなたがどう振る舞ってきたかを改めて記しましょう。

伝え方としては、マネジメント経験がある人は、見本のように「どういう立ち位置で何に注意を払いながらどうチームをまとめ上げていたか」を書きましょう。その結果実現できた実績にも言及すると、コミュニケーション力の高さだけでなく、それが会社にどう作用したのかが伝わり、より効果的です。

マネジメント経験がない場合は、社内外の様々なメンバーとどう関わったかを書くのがオススメ。「商品企画会議に自ら参加し、VI面から新製品の方向性について積極的に提案を行った」「営業から急遽POPの作成を依頼された際も、現場の意見を吸い上げて、タイトな時間ながらもターゲットに合わせて2パターンのPOPを作成し、売上を伸ばすことができた」など、積極性や論理性、傾聴力が伝わる具体例を添えると効果的です。

ポートフォリオの作り方

「百聞は一見にしかず」ということわざの通り、デザイナーの採用では、ずばりデザインした作品そのものを見てもらうことが最も効果的。そのために必要なのは、ポートフォリオを作ることです。

ポートフォリオの概要

・A4サイズ・5~10ページ程度で作成
・1ページ目は表紙で2ページ目から実際に手がけた作品を紹介
・表紙タイトルは「○○works」(○○にはあなたの名前が入ります)などとすればOK
・作品紹介ページは1商品1ページで在籍していた会社ごとに並べる

作品紹介ページに掲載する内容

・ページの端にその作品を作ったときの会社名と在籍期間を明記
・紹介する作品のブランドおよび商品名
・作品のカラー写真(図面ではなく完成像)を大きく記載
・デザインの趣意や工夫点を一言コメントで記載

ファイル形式はPDF。IllustratorかPowerpointで作成を

一部の企業では郵送で送って欲しいと言われる場合もありますが、ほとんどの場合、A4サイズ・PDF形式で作成します。PDF出力することを考えると、作成ソフトはIllustratorかPowerpointが良いでしょう。

応募する企業に合わせたテイストの作品を選出する

これまでに手がけた全ての作品を載せる必要はありません。あまり多すぎると見てもらえない、あなたの特徴がぼやけてしまう可能性があります。ここは、応募する企業が求めるテイスト・トーンに近い作品を中心に厳選して提出しましょう。もしあなたが幅広いデザインを得意としていても、応募する企業がたった1つ、特定のテイストでずば抜けて力量の高い人を求めているケースもあります。その場合は、やはりあまり関係のないテイストは掲載しないべきでしょう。

写真が手元にない場合はネットから拝借

作品=商品写真がポートフォリオのキモになりますが、在籍していた会社から解像度の高い画像データが持ち出せなかった場合は、ホームページや通販サイトなどネット上の写真を取ってくるかたちでも問題ありません。

ポートフォリオを作成する際に、判断に迷ったときは、彩職のコンサルタントがご相談に応じます。お気軽にご連絡下さい。

まとめ

デザイナーの職務経歴書は、ポートフォリオの補足資料。

在籍した企業のどんなデザインを担ったか(ブランドや商品、制作物の種類など)
上記作成のボリューム感とスピード感
冊子やPOPだけでなく什器の作成経験の有無(グラフィックデザイナーの場合)
VI(ヴィジュアルアイデンティティ)経験の有無(パッケージデザイナーの場合)

といった点を意識的に伝えていきましょう。加えて自己PRでは、コミュニケーションスキルの高さを伝えるべく、過去の折衝経験やマネジメント経験を具体例を添えて伝えましょう。

ポートフォリオで伝えたデザインが企業の求めるテイストと一致していることに加え、仕事の早さと幅広さ、そして組織にも溶け込める順応力が伝われば、書類選考突破がグッと近づくでしょう。

デザイナーとは

デザイナーとは、化粧品の見た目や販促物のデザインを手がける職種。職位が上がるにつれて、自らデザインするだけでなく、クリエイターを統括するクリエイティブディレクションを行ったり、ブランドのVIを定める役割を担う場合も。そのフィールドはパッケージデザインやVIを主とするパッケージデザイナーと、POPや什器やカタログを担当するグラフィックデザイナーに分かれます。

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