5分でわかる、各職種の転職術
品質管理・品質保証の転職

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『品質管理・品質保証』とは、
化粧品の中身や容器の品質を
管理・保証する仕事

品質管理は発売前の化粧品について、適切な品質が保たれているかをチェックする部門。一方の品質保証は、発売後の商品に関する品質に責任を持つ存在である。
外資系では品質管理=QC(クオリティコントロール)と品質保証=QA(クオリティアシュアランス)と呼ばれることもある。

品質管理の仕事内容

品質管理の仕事内容は、研究所や工場で、発売される前の商品に隠れているリスクや欠陥を発見し、トラブルを未然に防ぐこと。具体的には、

  • 各種分析機器を用いた物性検査
  • 微生物検査やバルク(化粧品の中身)の検査
  • 工場内の衛生調査
  • 資材や化粧品を入れる容器の検査

など…チェック項目は製造の各工程にわたります。薬事関連書類を省庁に提出する上でも各種検査が必要なため、薬事とは密に関わりながら仕事を進めます。女性が大半を占めるポジションです。

品質保証の仕事内容

一方、品質保証のミッションは、商品が発売された後。流通した商品の安全性を担保すべく、品質管理よりも裁量権がある業務を担います。例えば、

  • 既に流通している商品の安定性・安全性検証
  • 生産体制を巡る製造者との折衝
  • 消費者からクレームが寄せられた商品に対しての原因究明作業
  • 消費者対応

など。製造業者や顧客に対して企業の代表として立ち振る舞うケースが多いため、勤務地は本社となり、品質管理よりも男性がやや多い傾向があります。

このように、薬事と品質管理・品質保証は、化粧品の品質を巡って密接な関係にあります。そのため、品質管理と品質保証にそれぞれ専任の社員を置く企業もあれば、品質管理・品質保証・薬事を合わせて一職種とする企業もあります。

品質管理・品質保証の求人数

品質管理と品質保証双方を含めた品質部門での求人数についてご説明します。
女性の多い職場につき、出産や結婚に伴う退職者の欠員補充が求人の多くを占めていましたが、ここ数年は、増員を目的とした求人も多く見られるようになりました。理由は、化粧品の副作用をめぐるニュースが相次ぎ、品質管理・品質保証の重要性が再認識されたこと。ここ最近は過去数年間と比較しても、求人が出やすい時期にあると言えます。増員募集の傾向は今後もある程度は続く見通しであるものの、徐々に落ち着きを見せ、従来通り、欠員補充が中心となることが予想されます。

なお、品質管理・品質保証から転職することが多い薬事の求人も、同様の理由からここ10年で求人が出やすい時期にあると言われています。

品質管理・品質保証の転職 こんなスキルがあると有利

品質保証の場合、現在出ている求人は、大半が経験者募集で占められています。一方、品質管理は、それほど多くないとはいえ理系出身者であれば未経験でも可とする企業もあり、未経験でも転職できるチャンスは存在しています。
経験者にも未経験者にも共通する評価のポイントは、コミュニケーション力です。これは、工場や研究所とのやりとりや、商品クレームへの対応や返答例(トークスクリプト等)を検討することが多いため。加えて複数の業務を同時に進められるマルチタスク力も評価の対象となるでしょう。
品質管理の場合は、未経験OKや派遣・パートなど様々な種類の求人が出ています。こちらは折衝・調整よりも分析業務が中心となるため、使用できる機器の種類が大きく評価に影響を与えます。

この他、企業によっては英語力が評価に繋がることも。現状は外資系企業が中心ですが、今後海外へ工場移管が進むにつれて、語学力は大きな武器になっていくとも言われています。英会話の習得を考えている人は、仕事に役立ててみるのも手かもしれません。

なお、品質管理・品質保証から薬事へ転職する場合、品質保証の経験があること、が応募条件となる場合が多いです。中には品質管理経験のみでも可とする企業もありますが、薬事として働く場合には、化学系の学校または職場出身者に与えられる「総括製造販売責任者」の資格が必須になりますのでご注意下さい。

品質管理・品質保証の履歴書や職務経歴書、
面接時に工夫すると差がつくポイント

品質保証の応募書類のポイントは、上記のコミュニケーション力やマルチタスク力を明確に示すこと。「製造者との取り決め(40社70工場)」「クレーム処理(年間140件)」「新製品製造立ち会い(100品目)」など、折衝を含む業務の実績を、具体的な数字を交えて記載すると効果的です。
品質管理の場合は、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)やGC/MS(ガスクロマトグラフィー)といった、使用できる分析機器の種類を1つでも多く書き出すようつとめましょう。

品質管理・品質保証の転職理由・キャリアアップ

品質管理・品質保証の転職理由は、主に待遇改善かキャリアアップの二通りに分かれます。待遇改善に関しては、給与・残業時間の改善に加えて、通勤時間の短縮を希望する場合が挙げられます。品質管理に限って言えば、生活の変化に応じて雇用形態をパートやアルバイト・派遣などに変える、というものも見受けられるのが特徴です。

キャリアアップ面では、品質管理として就業中の人は、品質保証や薬事へのステップアップを目指す場合が多いです。一方、品質保証は、部門トップやマネージメント職を目指すことができるため、現在勤めている環境に応じて、そのまま昇格を重ねるか、よりチャンスの多そうな職場へ転職するかを判断していく流れとなります。

薬事同様、他の職種ほど、「憧れのブランドに行きたい」というニーズは多くないものの、自社の企業姿勢(品質管理体制や消費者への対応スタンスへの不満)が退職の理由になることもあるようです。

品質管理・品質保証の企業選びのポイント

勤務地や給与を転職の軸に置く場合は、求人情報の中で該当する部分をしっかりチェックしておくこと。但し、残業時間や産前産後休暇の実績などは、求人情報だけでは読み取りづらいため、口コミサイトやコンサルタントに確認しておくのがベターです。「品質管理・品質保証の転職理由・キャリアアップ」でお伝えした企業姿勢についても、念のために確認しておくと良いでしょう。

品質保証で、より的確に企業を見定める場合は、組織図や部署の人員構成を知っておくのも手です。自分しか品質保証が居ないのか、上司や同僚が居るのかによって、同じ給料でも仕事の責任や業務量に大きな差が出ます。

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