5分でわかる、各職種の転職術
研究職(処方開発)の転職

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『研究職(処方開発)』とは、
化粧品を作る仕事。

化粧品の研究職(処方開発)は、各メーカーの研究所で、新商品を作り出す仕事。企業によっては、研究開発と呼ばれることも。化学・薬学への専門的な知識が必要な仕事につき、理系大学(化学・薬学系の学部。一部専門学校も可)出身者がほとんど。理系出身者の職場ということもあり、男性が多く活躍している。

研究職(処方開発)の仕事内容

具体的な仕事内容は、様々な原料を掛け合わせて試作品を作りながら、最終的な商品像を模索していくこと。化粧品開発の中心人物として、その仕事内容は、処方作成・試作以外にも、安定性試験・原料調査にいたるまで多岐にわたります。場合によっては原料そのものを作成する基礎研究業務を含むことも。

会社による業務の違いはさほどありませんが、OEMメーカーではクライアントの意向に沿った製品作りを行う場合が多く見られます。一方、自社開発メーカーでは長期に渡り多様な原料の組み合わせから製品作りを行う場合もあります。

なお、化粧品の開発工程は、液体(スキンケア)と固体・粉体(メイクアップ)で大きく異なるため、研究職(処方開発)はいずれか一方でキャリアを形成していくことになります。

研究職(処方開発)の求人数

研究職(処方開発)の求人数は、リーマンショック時こそ減少したものの、現在は比較的多めで、今後も増加傾向にあると言われています。その背景には、ここ2~3年で異業種企業の化粧品業界参入が増えていることが挙げられます。

異業種企業が化粧品業界に参入する場合、企画企業としてプロデュースのみを行う場合がほとんどです。商品開発自体はOEMメーカーに外注するため、新規参入ブランドが増えるほど、OEMメーカーでは研究職(処方開発)の増員を迫られることになるのです。

百貨店系ブランドなど国内に自前研究所を持つメーカーでも、欠員補充やブランドのヨコ展開や立ち上げに伴う増員など、募集は行われています。ですが、その数はOEMほど多くはありません。
メイクアップを中心とした外資系ブランドの多くが国外で開発を行っていることもあり、スキンケア=液体製品を扱う企業の方が求人は出やすい傾向にあります。

募集自体は多くの企業で行われているものの、専門性が高いため、求人サイトやwebなどのマス媒体で見かけることはあまり多くありません。求人を探す際は、化粧品業界や理系人材に強い人材紹介会社を有効利用することが近道です。

研究職(処方開発)の転職 こんなスキルがあると有利

研究職(処方開発)の仕事では、他の人が作った処方や作成書に頼らず、1から自由に処方できるようになってようやく一人前、とされています(目安として、自社開発の企業で5~10年程度)。

OEMメーカーでは、1年間にどれだけ多くの処方開発を行ったか…作業ボリュームが評価されることが多いでしょう。

研究職(処方開発)の履歴書や職務経歴書、
面接時に工夫すると差がつくポイント

研究職(処方開発)の業務内容は各社共通部分が多いため、面接官に「この人はここまでできそうだ」と明確なイメージをパッと持たせられるかが合否の鍵と言えます。従って応募書類では、何を、どれだけ手がけてきたのか。自分の実績を具体的に、余すことなく伝えることが重要です。

具体的には、最もアピールになる「1から処方した製品」を書き出すことはもちろん、「処方の改良を手がけた製品」も全て挙げること。箇条書きで構いませんが、「1から処方した製品」「処方の改良を手がけた製品」と分けて記載するなど、見やすくなる工夫は必須です。また、「年間○品目以上」といった記述で、どれだけ多くの仕事をこなしてきたか、ボリューム感も伝えましょう。

また、面接ではコミュニケーション力が差の付くポイントに。加えて、男性の場合は「なぜ化粧品業界で働こうと思ったのか」を質問されることが多いようです。納得のいく説明と熱意を伝えられればあなたの印象はグッと高まるでしょう。

研究職(処方開発)のキャリアアップ

化粧品業界の研究職は、就職活動時にも狭き門として知られます。そのため、大学卒業時に希望通りの企業に入社できなかった人は、OEMメーカーで働きながらスキルアップを実現するか、自社開発のメーカーに転職するなどして、自分の希望を叶えていくことが多いようです。

研究職としてのキャリアアップは、人により様々。とりわけ処方開発の仕事は、無限大の原料の組み合わせと、続々出てくる新成分、そして世の中のめまぐるしい流行変化が相まって、まさに「ゴールのない世界」です。研究所のマネージャーや所長としてステップアップするもよし、ベテラン研究者として後輩育成に力を注いだり、何十年と良い製品を作り続けていくもよし。
化粧品業界の中でも、特に職人的なキャリアの描き方をしていくことになるでしょう。

研究職(処方開発)の企業選びのポイント

研究職(処方開発)に多い転職理由は、次の4つが挙げられます。

  • よりクオリティの高い製品を開発したい
  • OEMメーカーから自社開発メーカーに転職したい
  • 就労環境(残業時間など)を改善したい
  • 希望する勤務地で働きたい
  1. よりクオリティの高い製品を開発したい

    OEMメーカーやリリーススパンの短いメーカーの場合、1つひとつの商品作りに割ける時間とコストが限られています。「じっくり時間を掛けて(半年~年単位で)製品を作りたい」「よりクオリティにこだわりを持った開発を行いたい」「クライアントのオーダーではなく、自分発の開発を行いたい」といった希望を叶えるには、高級化粧品メーカーなど、自社開発をメインで行っている企業の中から、自分に合うところを選ぶのが良いでしょう。

  2. OEMメーカーから自社開発メーカーに転職したい

    自社製品の開発に携わりたい、というパターン。注意したいのは、まだ1から処方をした経験がない人は、転職時に不利になる場合がある、ということです。できる限り多くの経験を積んでアピールポイントを増やしておくことはもちろん、場合によっては希望者の少ない地方勤務も念頭に置いて転職活動を行うと良いでしょう。

  3. 就労環境(残業時間など)を改善したい

    研究職(処方開発)は、化粧品業界の中では残業時間の多くない職種ですが、一部のメーカーでは納期や就業環境から、かなり多忙であることも。就労環境は、自社開発・OEM関係なく会社によって異なる上、ネット上の情報では確認が難しいものです。
    取引先や社風などから推測することに加え、人材紹介会社を利用して職場の実情をヒアリングするのが有効です。

  4. 希望する勤務地で働きたい

    家庭の事情や生活の変化等で、特定のエリアでの就業を希望する人も少なくありません。化粧品メーカーの研究所は全国に点在していますから、ある程度、希望に近い勤務地を探すことは可能です。但し、東京近郊や大阪近郊といった都市部の求人は、人気が高く応募が殺到するため、都市部で求人を探す場合は、転職活動が半年以上長期化する可能性も。ある程度余裕をもった行動を心がけましょう。

研究職(処方開発)は、募集こそ活発に行われているものの、その多くが求人サイトや広告で出回らない非公開求人。また、一見すると似通った各社の実際の就労環境を見分けるためにも、人材紹介会社を使った情報収集が有効です。

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